カテゴリ:人間( 451 )

映画『ゲッベルスと私』を観て思うこと

 今朝8時前、大阪地方に震度6の地震発生、お気をつけになってくださいませ。

昨日、映画を観終わった後すぐに神保町の岩波ホール10階が地震だったのでしょうか、微かの揺れを感じ館内大変な映画の後でしたので少し館内がざわめきました。

何事もありませんでしたが、しばらく静かだった日本列島の地震、今朝の情報であー、又・・・人ごとではありません。

そしてこの映画『ゲッベルスと私』原題は`EIN DEUTSCHES LEBEN’英語では『A GERMAN LIFE』を観て、103歳の主人公のひとつひとつの皺がドキュメンタリーの深い皺に繋がり人間の悪の力というものがあらためて浮きぼりになり、しばし呆然となって心痛みました。

昔、Mein Sohnが3歳ころ、夫とポーランドのアウシュヴィッツを訪れました。あのゲートをくぐった時、死者の魂がわたしを襲い1/3位の所でどうしても足が進まず、夫のみが先に進んでもらい、入口のところでじっと息子と待っていました。訪れていたある女性が私と小さな息子に非難の眼差しを投げかけています。

ここまで来ていながらあなたは何をしているの?と問いかけているのでしょうか・・・。

心塞いだ私は自分の弱さにどうしてよいのか・・・そんな思い出が甦ってくるのです。

ハンナ・アーレントのアイヒマンを連想し、このブルンヒルデ・ポムゼルと云う女性の語りは人間のその環境に置かれた立場を避けられない人間の弱さを表現しているように私には感じられました。

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この方の履歴を記します。

1911年1月11日ベルリンに生まれる。1942年から1945年までゲッベルスの秘書として働く。1945年、第二次世界大戦終戦後、ソヴィエト軍に捕らえられ、5年間、強制収容所を転々としながら抑留される。1950年に解放され、1970年の定年退職までドイツ公共放送連盟で働く。2017年1月27日、ミュンヘンの老人ホームで死去。享年106歳でした。

因みにこちらの映画はオーストリア産です。





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by madamegrimm | 2018-06-18 13:28 | 人間 | Comments(4)

『魂の秘境から』を読み

 先月下旬、Zeitungの批評に若松英輔氏の文を読み、この方・石牟礼道子さんの本を初めて拝読、こころ洗われる人間の美しい姿が浮かんでくるのでした。

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『魂の秘境から』石牟礼道子著(朝日新聞出版)は日本の社会の罪と罰を背負った厳しい人間の道のりにこの方は静かに幼いころからの思い出を綴りながら魂の秘境から私たちに詩の心で伝えてくれています。

評者の若松英輔氏の文を記させて戴きます。

`烈しい詩情が浮かぶ’
本書の最後の作品が発表された十日後、作者は逝った。文字通りの遺作である。
死は、すでに書かれている言葉の意味を刷新する働きを持つ。書き手がこの世を後にし、初めて浮上してくる意味の層がある。本書を読んでその思いを一層新たにした。誤解を恐れずにいえば、新しい石牟礼道子がここにいる。石牟礼道子による石牟礼道子入門といった趣もある。
 本書では「あの世からのまなざし」と、「石の物語」の二作が、ことに強く印象に残った。生者が死者に守護されている、そう彼女は感じ、生きていた。前者で彼女は、夢の働きとそこに現れる亡き者たちを、描き出す。後者で彼女は石を「星さまのしずく」と呼ぶ石屋の経営者だった父親の言葉にふれているが、この言葉はそのまま受け取ってよい彼女の世界観であり、宇宙観なのである。
 石牟礼道子の本性は詩人である。代表作「苦海浄土」も彼女は「詩」だと考えていた。だが、彼女の作品を初めて読む、という人には本書のような随想を薦めたい。そこには詩情はもちろん、物語も彼女の自伝も、豊かに記されているからだ。
 読者は、本書の言葉の中に耳には聞こえない彼方からのもう一つの「声」を聴くだろう。私たちはもう作者の姿を見ることはできない。しかしそのおもいは、かつてよりも明瞭に、烈しく感じることができるようにも感じられる
。(5月27日Zeitungより)

私も「アコウの蟹の子」や「海底の道」そして「流浪の唄声」などが印象に残りました。
心からのご冥福をお祈り申し上げます。







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by madamegrimm | 2018-06-14 11:07 | 人間 | Comments(4)

お洒落な題名の本

『雨の日はソファで散歩』種村季弘著(ちくま文庫)をゆっくり雨の日などに読み進め楽しませて戴きました。

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今ご存命でいらっしゃいましたら85歳位、2004年頃にお亡くなりになっていらっしゃいますがこの作品は遺作になります。

ブログ友・h氏のご紹介で彼は街角探検がご趣味でいらっしゃいますがこの文庫は敗戦後の東京の町並みがドイツ文学者・種村季弘(たねむら すえひろ)に寄ってその当時の文芸人たちとの関わり合いの中で繰り広げられる人間模様・・・知識豊富な内容に心躍らされ関東周辺がよく見えてくるのでした。

男の世界、この歳になっても知らないことだらけ、いいのだ、私は・・・オホホ

私の行きたい町は本の街・・・。











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by madamegrimm | 2018-06-10 10:30 | 人間 | Comments(4)

梅雨入り前のerst Juni

エッセイストの酒井順子著『金閣寺の燃やし方』(講談社文庫)というユニークな本を読了しました。

ひょんなことからこの文庫に出会い、三島由紀夫と水上勉の作品に『金閣寺』(三島作品)『金閣炎上』(水上作品)という同時代に生きて金閣寺を題材にしながらそれぞれの持ち味で作品に仕上げていく二人への深い洞察力で比較して行く酒井順子氏に興味を持ちました。

彼女は履歴によると高校時代から文筆活動をしながら大学を卒業して大手の広告代理店で働きながらご自分の世界へ突き進みエッセイ賞などを執られながら沢山の作品を書かれている。

金閣寺は1950年(昭和25年)7月2日一人の修行僧の放火によって焼失した事件を元に、三島由紀夫は「金閣寺」を、水上勉は「五番街夕霧楼」および「金閣炎上」を書いているのです。

そのそれぞれの作品を読み比べながら足利義満の歴史から始め室町時代の金ピカ趣味への親しみが三島であれば、水上は若い頃から犯人と同じ修行僧と同じ貧しさからスタートしていく「田舎者の文化」を身につけているところとで対比させていくのです。

現代を生きる彼女らしい発想でう~んとうなる観察力に脱帽です。

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by madamegrimm | 2018-06-01 22:17 | 人間 | Comments(4)

映画を観、街を歩く

湿度の低い今日、有楽町へ出かける。

「ダリダ」を観てきました。懐かしい歌がいっぱい!

芸人の波乱にとんだ54年の人生、120分以上の上映にダリダの歌を散りばめた人間模様、見事でした。

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気分転換ができました。
帰路、丸の内の方面へ歩く。

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家の垣根の蔦の葉と同じ位大きな蔦並木

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オアゾウビルの地下神戸屋で小ピッツア食しひと休み

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さあ、元気を取り戻して次なるステップです。






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by madamegrimm | 2018-05-22 21:55 | 人間 | Comments(2)

大好きだった女優

 朝丘雪路さんが4月に亡くなっていました。

七光り三人娘として日本画家の伊東深水を父に持つ朝丘雪路、画家・東郷青児を父に持つ東郷たまみ、新派の大女優であった水谷八重子の娘・水谷良重、今の八重子ですがその三人の歌手たちが繰り広げたジャズや芸など楽しませてくれ、とりわけ私は雪路が好きで番組を追いかけたものです。

ここしばらくマスコミに登場しないので病気なのかな~と気にかけていたのでした。

たて続けに芸能人の訃報に接し、高齢化社会であっても人はみな順番に亡くなっていきます。

死だけは計算通りにはゆきません。私もいずれその仲間に入るのですが複雑な思ひの今日この頃、世界情勢が危ぶまれているニュースに心落ち着かず蒸し暑さにダメージを受けながらままならぬ躰を持てあましている状態・・・。

どのようにして気分転換をしたらよいのか困ったものです。

最後の力を振り絞るツツジです。

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by madamegrimm | 2018-05-21 20:03 | 人間 | Comments(2)

坂本一亀とその時代を読み

いや~凄い!濃い生き様を読了です。

河出文庫出版の『伝説の編集者 坂本一亀とその時代』(田邊園子著)です。

第2次世界大戦中死を決意しての軍隊経験を持つ「坂本一亀」という人間像を見事に表現してくださった著者にも頭が下がります。

戦後1.2年が過ぎた頃、坂本一亀は河出書房の編集者として入社、後に編集長となり沢山の作家たちを育てあげていく大変な情熱家・・・。

この著書を依頼した人は、あのかの有名な音楽家・坂本龍一です。自ら主演した「戦場のメリー・クリスマス」には父上・坂本一亀の面影が見いだされるようで私はまだ観ていないので借りて来なければと思う今日この頃・・・。

その戦争経験が戦後生き延びたご自分の余命を賭け、努力と情熱になって戦後の出版界の繁栄となっていくのです。

河出書房は経営不振になって倒産したりしている中を彼の情熱は命令調の言葉で作家たちと激論しながら野間宏、椎名麟三、中村真一郎、三島由紀夫、埴谷雄高、水上勉、小田実、高橋和己、真継伸彦、山崎正和、丸谷才一、辻邦生、島尾敏雄、大江健三郎等々ため息が出る程の作家の方々と関わり合っての文芸編集者の姿が私の戦後の小学生から大人になって行く期間とだぶり、父の思い出姿ともだぶり、懐かしい空気が心に漂ってくるのでした。

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今日の息子、坂本龍一氏の生き様が納得されます。






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by madamegrimm | 2018-05-13 12:16 | 人間 | Comments(4)

マサカの時代です。

 今日は何て寒い日でしょう。暖房器具を持ち出すのも少々オーバーかな・・と思い温かい上着を着込んで2時間ほど外出してくる。

近くの本屋さんで新刊コーナーを見ていましたら棚に2冊、新潮新書『マサカの時代』(五木寛之著)が目に留まる。

ミスタードーナツキャフェに入り、一気読みです。

年齢を重ねた方の著書は自分も日々気になる事が多くなってきて何冊か読んではいるもののまだ人ごとのような気持で無視してきましたが、この五木氏のタイトルに惹かれ読み進むうちに読者を笑わせながら本質を突いてくる・・・。

そしてご自分の生い立ちが終戦直後は12歳、かっての植民地支配者の一族として平壌でひどい状況の中、母を亡くし教師であられた父親はその体験で呆然となられ長男の彼は家族の生存のためにあらゆることをして日本に引揚げてこられているのです。

そして敗戦を体験した後遺症なのであろうかと・・「歴史は本当のことを教えない」という気がするそうです。

最後の章は《「マサカ」への覚悟⦆と、ご自分でマサカこの年まで生き長らえて原稿を書くことになるとは予想もしていなかった。そして「マサカ」は常に目前にあると覚悟したい。と締めくくっていらっしゃいます。

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 先程のニュースでもある大手薬品会社とアイルランドの会社でしたか買収、何と7兆円とか・・マサカの額が・・・フー!







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by madamegrimm | 2018-05-08 23:42 | 人間 | Comments(4)

本の題名『地球にちりばめられて』を読了

多和田葉子さんの講談社出版『地球にちりばめられて』を読む。

今年のGWは何かと世間のニュースに少々翻弄されていて読書に集中出来ず、Meine Tochterがその真っ只中の誕生日、仕事が忙しいらしく4月のある下旬、二人で回転ずしのボックスに鎮座益し午後を飲み食べ誕生日を祝ってから呑兵衛の日々、読書がままならず・・・。

それでもブログ友より紹介の多和田葉子の「ゴットハルト鉄道」(講談社文芸文庫)を読み私の好きな多和田さんではないような内容にうんざりしながら、それでもヨーロッパという大陸で生き延びようとする姿がその彼女のFotoと共に人間の苦悩が垣間見られもう少し応援しなければ・・と街を歩いているとタイトルの本に出会いました。

読み始めはう~ん! しかし読了後、本の後ろの帯を読み益々納得です。

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そうなんです。実に多彩な友たちに出会いながら消滅してしまった自分の国の言葉を捜しにヨーロッパの国々を渡り歩いて行くHiruko、言葉言語を通して彼女独特の世界を豊富な知識で渡っていく。

生きるとはこういうこと、移民の世界は「ゴットハルト鉄道」の本からも読み取れますが、これからの地球一個人は大変難しいところに皆立たされているような・・・。

今日は子供の日、歩いて30分程のお店まで柏餅を求めて多和田葉子氏の事を考えながら和風の表紙と共に柏餅を戴きましょう。

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by madamegrimm | 2018-05-05 16:37 | 人間 | Comments(4)

西脇順三郎の詩から

 西脇順三郎は1894年(明治27年)1月20日に小千谷市に生まれる。
1982年(昭和57年)6月5日死去。

印象派絵画のような詩は私のこころを振るわせます。

詩集を読んでいて次の詩に出会いました。

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無常
バルコニーの手すりによりかかる
この悲しい歴史
水仙の咲くこの目黒の山
笹やぶの生えた赤土のくずれ。
この真白い斜塔から眺めるのだ
枯れ果てた庭園の芝生のプールの中に
蓮華のような夕陽が漏れている。
アトリエに似たこのサロンには
ガンボージ色のカーテンがかかっている。
そこで古のガラスの洋杯を蒐める男が
東方の博士たちへ鉛とエナメルと
バラスターの説明をしていた。
饗宴は開かれ諸々の夫人の間に
はさまれて博士たちは恋人のように
しゃがんで何事かしゃべっていた。
ノーラは美しく酒をついだ。
(笹薮に雪がちらつと降って
雉子(きぎす)の鳴く声きけば
この失われた夜のことを憶うのだ。)
やがてもうろうとなり
女神の苦痛がやって来たジッと
していると吐きそうになる
酒を呪う。
虎のように歩きまわる
ふと「古の歌」という本が
ひそかに見えたと思って
もち出して読もうとするとそれは
《verres anciens》だった。
客はもう大方去っていた。
とりのこされた今宵の運命と
かすかにおどるとは
無常を感ずるのだ
いちはつのような女と
はてしない女と
五月のそよかぜのような女と
この柔い女とこのイフィジネの女と
頬をかすり淋しい。
涙とともにおどる
このはてしない女と。

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西脇氏の経験豊かな心が伝わって来ます。

        追伸

西脇順三郎は1922年(大正11年)から1925年(大正14年)イギリスへ留学、その間にイギリスの画家と結婚しています。日本に連れていらっしゃいましたが昭和7年に離婚しています。

この時期の国際結婚の難しさが詩からも読み取れるのでした。

人間の一生涯を考える今日この頃です。



































































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by madamegrimm | 2018-04-24 16:14 | 人間 | Comments(2)

私の日常(madame grimm)


by madameoyou
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