『魂の秘境から』を読み

 先月下旬、Zeitungの批評に若松英輔氏の文を読み、この方・石牟礼道子さんの本を初めて拝読、こころ洗われる人間の美しい姿が浮かんでくるのでした。

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『魂の秘境から』石牟礼道子著(朝日新聞出版)は日本の社会の罪と罰を背負った厳しい人間の道のりにこの方は静かに幼いころからの思い出を綴りながら魂の秘境から私たちに詩の心で伝えてくれています。

評者の若松英輔氏の文を記させて戴きます。

`烈しい詩情が浮かぶ’
本書の最後の作品が発表された十日後、作者は逝った。文字通りの遺作である。
死は、すでに書かれている言葉の意味を刷新する働きを持つ。書き手がこの世を後にし、初めて浮上してくる意味の層がある。本書を読んでその思いを一層新たにした。誤解を恐れずにいえば、新しい石牟礼道子がここにいる。石牟礼道子による石牟礼道子入門といった趣もある。
 本書では「あの世からのまなざし」と、「石の物語」の二作が、ことに強く印象に残った。生者が死者に守護されている、そう彼女は感じ、生きていた。前者で彼女は、夢の働きとそこに現れる亡き者たちを、描き出す。後者で彼女は石を「星さまのしずく」と呼ぶ石屋の経営者だった父親の言葉にふれているが、この言葉はそのまま受け取ってよい彼女の世界観であり、宇宙観なのである。
 石牟礼道子の本性は詩人である。代表作「苦海浄土」も彼女は「詩」だと考えていた。だが、彼女の作品を初めて読む、という人には本書のような随想を薦めたい。そこには詩情はもちろん、物語も彼女の自伝も、豊かに記されているからだ。
 読者は、本書の言葉の中に耳には聞こえない彼方からのもう一つの「声」を聴くだろう。私たちはもう作者の姿を見ることはできない。しかしそのおもいは、かつてよりも明瞭に、烈しく感じることができるようにも感じられる
。(5月27日Zeitungより)

私も「アコウの蟹の子」や「海底の道」そして「流浪の唄声」などが印象に残りました。
心からのご冥福をお祈り申し上げます。







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Commented by maru33340 at 2018-06-14 22:40
読みたい、と思います。
Commented by madamegrimm at 2018-06-14 23:11
maruさま こころが何か自然に素直になっていくような文章で、あの水俣病の苦しみが魂の秘境から救われていく気持ちにさせてくれる美しい作品です。是非に!
Commented by k_hankichi at 2018-06-15 18:22
気になっています。でも分け入り行っていませんでした。大丈夫でしょうか?入っても。
Commented by madamegrimm at 2018-06-15 21:22
はんきちさま とても純粋な彼女の心が素直に記されていて、負の公害の重みは見えないほどです。しかし、読了後、じわじわと社会の歪みが押し寄せてくる・・・凄い方です。勉強になります。
by madamegrimm | 2018-06-14 11:07 | 人間 | Comments(4)

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