『イヴォンヌの香り』モディアノ作品を更に読みながら
2015年 04月 15日
言うなれば、とらえどころのないモヤモヤ感。それでも惹かれてしまうのは何か・・・ずーっと考えてしまっている。
単純に考えてまず世界一有名なノーベル賞という賞を去年獲得していること。唯単にパリジェンヌの世界をだらだらと記しているのではない。
どの本を読んでもパリの街の地名がものすごく多い。それもフィクションではなく本当の地名なのだ。方角も。
そして映画俳優たちが実にリアルに登場し、モディアノの父母の世界が第一次第二次世界大戦最中の情景と共に間接的といいましょうか記憶を辿るような表現があちらこちらに再現されている。しかし彼は1945年生まれ。
最後には深い喪失感が時間のズレと共に襲ってくる。
もう4・5冊読んだのですが、皆どれもパリの街に訪れるロマンから徐々に徐々に何かに引きずられて凄いアクションがありその表現力に圧倒され、まるで映画を観ているような錯覚に追いやられるのです。
そして私、気がつきました。人間は永遠の繰り返しということに。
いえ、私が気付いたのではないのでした。既に解説者、翻訳者たちが記しています。‘永遠のくりかえし’
前にも記しましたが大人になれない、とはそう言うことなのでは・・・。
絵画で言ったらクリムト?いえ、違うかなー。
たいせつな友人たちとも、十年一日の如くに、芸術であるとか音楽であるとか、生き方などなどについて語り合います。だいたいが同じような主題で同じように落ち着きます。繰り返しです。