『この人を見よ』(新潮文庫)を読んで

 小林秀雄とおっしゃる文芸評論家と申し上げてよろしいのか、明治大正昭和の時代を美の追求で歩かれた方を私もいつの頃からでしょうか、お名前を自然に知り、文章に書かれた作品は難解で娘時代図書館で見ては解ったふりも出来ない文筆家だなー!と困り果てていた方が・・・。

数日、多忙な山間生活を過ごしながら、夢中になって読んできたのでした。

出版社のご関係の人たちの「小林秀雄」への思い出集です。

75人もの著名な方たちばかりです。

まさに「この人を見よ」です。ニーチェの自伝タイトルにもあるようですが、こちらは小林氏との生身の意外な素顔が大変ユニークに皆さま記していらっしゃいます。

例えば大岡昇平氏:『ソバ屋の思い出』より
 小林さんは自分のことを考え抜いた人だ。その一番かんじんのところは人に伝えられないということを、骨身にこたえて知っているひとだ。
小林さんの書くものに、いつも孤独の影がさしているのはこのためで、いくら口をすっぱくしていって聞かせたところで、相手は自分がわかることしか、聴きとりはしないということを知っているわけだ。


彼は大学でも沢山教えていました。

吉田秀和氏は:『演奏家で満足です』より
小林秀雄は、つぎつぎと問題をなげかけ、なげすてながら、前進する。問いは必ずしも答をひき出さないが、読むものに、ある時は光を、ある時はショックを、ある時は喜びを、わかち与え、ある時は停止を要求し、自分でさきを与えるよう誘惑する。

読んでいまして、一番身近に感じました文章は、ドイツ文学の翻訳もなさる高橋義孝氏です。
『常識と偶然』というタイトルで記していらっしゃいます。

心に染み入りました。一人の一生がこのような素晴らしい方々との出会いの中で西洋と東洋の文化を身をもって体験しながらにじみ出る知性となって、この本の最後に記していられる脳科学者・茂木健一郎氏が総まとめをしてくださっており、魅力的な美の感性の達人でいらっしゃるのでした。

ふっと思ったことは彼はリヒャルト・シュトラウスの『四つの最後の歌』を聴かれたかしら・・・。

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                                         山あいの夕月
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Commented by maru33340 at 2015-03-02 07:35
この本は僕の今年最初の読書でした。
面白いですよね。
Commented by およう at 2015-03-02 10:02 x
maruさま すーごく面白いでした\(^o^)/ 高橋義孝氏が記していらっしゃる「完璧な常識人」、「そつのない人」、「平凡を志して非凡の域に達している」。<^!^>
Commented by k_hankichi at 2015-03-02 22:31
僕も正月に読んで、感嘆しました!
Commented by およう at 2015-03-02 23:47 x
はんきちさま いま何処にいらっしゃるのかなー!(^O^)
やはり読んでいらっしゃるのですね\(^o^)/
Commented by k_hankichi at 2015-03-03 07:34
おようさん、帰国しました。
Commented by およう at 2015-03-03 13:31 x
はんきちさま お帰りなさーい!!お疲れ様でした。可愛いお雛さまが待っていらっしゃいましたね^^ 私もこれから買物に出て素材を調えます(^・^)
by madamegrimm | 2015-03-01 18:36 | 人間 | Comments(6)

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