今年のノーベル文学賞作家パトリック・モディアノ氏の作品を読む

 Patrick Modiano作『八月の日曜日』というコートダジュールのニースが主な舞台の作品に出会いました。

日本では予期していなかった作者のようでどちらの書店も印刷中の模様、フランスではファンが沢山いられるとのこと、是が非でも早く読みたく探し回りました。

何とこちらの国でも著名な作家兼教授の堀江敏幸氏の訳をみつけ、即手に入れる。

堀江氏の作品は『なずな』という少々私にとっては退屈な内容を読んでいて、似たような作品かなーなんて思いながらページを括って行きます。

フランスの地中海沿岸の街ニース、主人公の『私』が繰り広げるミステリー仕立てのパリ近郊・マルヌ河岸界隈の人間模様などを取り入れながら1980年代の時代がリアルに甦ってくるフランス描写の小説でした。

本の帯に翻訳者の堀江敏幸氏の文が載っていましたので記します。

そのとき、モディアノの主人公がつねづね怖れている「置き去り」状態が発生する。(・・・)たったひとり、モディアノの語り手は、いつも真っ白な現実にむきあわなくてはならない。彼らはいったいどこへ消えたのか?誰が悪いと責めることもできず、主人公はその折の衝撃のぶりかえしに怯えつづける。「胸の疼き」は、空白の前で立ち止まったときに立ちあがってくる既視感をまえにした、ほとんど身体的な反応だが、謎の解決は、愛した女性の肌のにおいだけを残して、全身をゆるがすこの既視感に屈して放置される。だからこそ、マルヌ河の瘴気を払い、ニースへむかうまえの夏の日々の、期待と不安が奇跡的に等価となる頁を読み返すたびに、読者は、この逆避行を生き直すことになるのだ。そのとき感じる「胸の疼き」は、もはや主人公だけのものではなく、私たちにもあたえられた厳しい試練となり、またこのうえない喜びとなるだろう。--「訳者あとがき」より

全体の感想といたしまして、まさに人間の個としての生き方が試され、現代の方向性が表示できず過去の柵から脱却しようとしながらいつのまにかひとり取り残され茫然と立ちすくみ、さて・・・、

この一冊ではモディアノ氏がまだ良く把握できない私なのでした。

もっと他作品も読まなければ・・・。

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2003年8月水声社発行
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Commented by k_hankichi at 2014-10-19 07:44
堀江さんの小説にも流れている感覚がありそうです。読んでみたいな。
Commented by madamegrimm at 2014-10-19 08:04
はんきちさま コメントありがとうございます^^ 昨日、母のところからの帰り、神保町の東京堂に寄りましたら何冊かありました。私はリブロでしたが・・・。パリにお住まいの梨の木日記というブログを時々拝見するのですが、モディアノ氏はフランスでは著名な方でコアなファンも沢山いられるそうで村上春樹よりノーベル賞に相応しいかとか聞かれても答えられないですが私(梨の木さん)は良い作家だと思っています。一読の価値ありです。と言ってられました。moiも次なる作品を探しています(^・^)
Commented by maru33340 at 2014-10-19 16:56
なるほど、少し興味が出てきました。
少しデュラスにも似た感じでしょうか。
Commented by およう at 2014-10-19 22:36 x
maruさま 只今山間のパソコンからですが反応鈍しです><
マルグリット・デュラス、こちらも読んでいない><
かなり違うような感じがします・・・。こちらに来るとき、もう一冊購入しましたので読後に又^^
by madamegrimm | 2014-10-17 19:25 | フランス事情 | Comments(4)

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