トーマス・マン『魔の山』 `Der Zauberberg'を読み通す

 1月初借り図書館本はトーマス・マンの『魔の山』でした。

新潮社版 世界文学全集28,29の上下を借りました。(それのみでしたもので・・・)

若き頃、トーマス・マンとロマン・ロランをこんがらかせておりました私、ロランの「ジャンクリストフ」を途中で投げてしまい、しばらく長編小説には手が出せませんでした。

それでもドフトエフスキーなどは時間をつくって必死で読んだのち、徐々にむむむ、トーマス・マンがいられる・・。

北ドイツのリューベック生まれ、それほど長くない小説から読み始めたのです。そしてやはり『魔の山』は読まなければと、今になってこの細かい全集に引き込まれていったのでした。

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作品の内容は北ドイツ・ハンブルグ出身の青年ハンス・カストルプが、いとこヨーアヒムの療養しているヨーロッパ・アルプスへ3週間だけ休暇を兼ねて訪ね、なんとハンス・カストルプまで結核に感染して7年もの間サナトリュウム生活を強いられてしまうお話です。

このように単純に記してしまいましたら、夢も希望も吹っ飛んでしまいます。

深い深い内容です。先ほど読み切り、何を中心にこのブログ上に記して良いのやら、途方にくれています。

徐々に思いついたことを記していきたい。

まるで映画の場面を見ているような人々の様子、風景描写、思いを込めてハンスがショーシャ夫人にフランス語で愛を告白する場面、フリーメイソンのゼテムブリーニ(イタリア人)、イエズス会のレオ・ナフタ、医者のベーレンス顧問官、オランダ人のメネール・ペーペルコリン、いやはや、次から次へと個性豊かな人々が登場してきます。

この本の訳者は高橋義孝さんで1967年発行本です。

このアルプス療養所は「ベルクホーフ」と名付けられ、国際色豊かでフランス語で会話をしているところはカタカナで記してあり、ラテン語はスペルそのものが載せてあります。

トーマス・マンという作家はノーベル文学賞を1929年に受賞されていて、実に音楽まで造詣深く、この国際療養所「ベルクホーフ」に初めてドイツ製蓄音機が供えられたとき、ハンス・カストルプが管理し出し、沢山のレコードを聴いていくのですが、初めて聴く感動をこのように記しています。

 いわばオペラグラスを逆さにして絵をのぞいているような感じで、線の鋭さや色彩の鮮明さはいささかも失われないが絵全体が遠く小さくなって見えるというようなふうであった。ーオッフェンバッハの序曲を聴きー

彼が聴いている中でシューベルトの『菩提樹』が出てきます。その美しい表現の後ろには常に死を意識すると。

そして最後は「菩提樹」を口ずさみながら「さようなら」。

あらためて歌詞を記します。

 いづみにそいて、しげる菩提樹、 したいゆきては、うまし夢みつ。みきにはえりぬ、あいのことば、

 うれしたのしに、といしそのかげ。

 きょうもよぎりぬ、くらきさよなか、 まやみにたちて、まなことづれば、えだはそよぎて、かたるごとし、

 こよ いとしとも、ここにさちあり。

 おもをかすめて、ふくかぜさむく、 かさはとべども、すてていそぎぬ。

 はるかさかりて、 たたずまえば、なおもきこゆる、 『ここにさちあり』

 はるかさかりて、 たたずまえば、なおもきこゆる 『ここにさちあり』 『ここにさちあり』近藤朔風訳詞

Der Lindenbaum

Am Brunnen vor dem Thore, Da steht ein Lindenbaum; 

Ich träumt’in seinem Schatten So manchen süssen Traum.

Ich schnitt in seine Rinde So manches liebe Wort:

Es zog in Freud´und Leide Zu ihm mich immer fort.

Ich musst’auch heute wandern vorbei in tiefer Nacht,

Da hab’ich noch im Dunkel, Die Augen zugemacht.

Und seine Zwei gerauschten, Als riefen sie mir zu;

Komm her zu mir, Geselle, Hier find’st du deine Ruh’!”

Die kalten Winde bliesen Mir gradin’s Ange sicht,

Der Hutflog mir vom Kopfe, Ich wendete mich nicht.

Nun bin ich manche Stunde Entfernt von jenem Ort,

Und immer hör’ich’s rauschen: "Du fändest Ruhe dort!"

Nun bin ich manche Stunde Ent fernt von jenem Ort,

Und immer hör’ich’s rauschen; ”Du fändest Ruhe dort.

Du fändest Ruhe dort!"
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Commented by k_hankichi at 2014-02-06 20:47
おようさん、僕も学生時代、高橋義孝訳で読んでいました。懐かしいな、あの頃のことが。
Commented by maru33340 at 2014-02-06 21:10
懐かしい。
実に、懐かしい。
Commented by およう at 2014-02-06 21:21 x
はんきちさま 遅ればせながらトーマス・マンに圧倒されました^^もっと若かったらドイツに行って原文が欲しくなりました。多和田さんもこれから訳者になりますかしら。maruどのがブログに記していた多和田葉子訳の同じ場所で高橋義孝氏の訳とかなり違っていることに気づきましたの。文章ってほんとに深い世界ですね。
Commented by およう at 2014-02-06 21:39 x
maruさま 拙い感想文になってしまいました。トーマス・マンはスケールが厖大すぎて、Ichの能力ではまとめるのはチトきついです^^一言でまとめると「ヨーロッパのブルジョア人たち」(^_^;)
by madamegrimm | 2014-02-06 00:05 | 人間 | Comments(4)

私の日常(madame grimm)


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