哀しき人間の性(さが)

 恥の多い生涯を送って来ました。

から始まる太宰治の『人間失格』(新潮文庫)平成27年発行で196刷の薄い本を読みました。

ふらふらになって生きている可哀そうな6男の一生です。

このように記す事が良いとは思いませんが、長生きをしてしまっている私にとっては、日本の家族制度や国の決まりによって下の方に生まれてしまった人間にとって宿命となって人生を模索していかなければならない・・・。

太宰治は自分の父とほぼ同年です。

あの時代、私の父は長男であったばかりに家長としての後を繋いでいかなければならない立場を放棄しての医者でしたのでその後のお家騒動に振り回された跡継ぎの問題は大変なものでした。

太宰の家の大所帯の中で育った治の立場はピエロになって生きざるを得ない・・・。

非常に頭の良い彼、常に自分をおどけて回りの人々を笑いに誘い女性を惹きつけ挙句の果て、女性のいないところに行きたいと関係者を笑わせる・・・。

それらの笑いのところでは私は悲しい笑いが襲ってくるのでした。

若い頃読んだ印象とかなり違って響いてくるものは哀しき人間の性です。

丁度同じくして読んでいた文庫で原田マハの『生きるぼくら』(徳間文庫)ですが、こちらの主人公の名前が「人生」で少々名前と人生とがこんがらかってしまうのにまいりましたが、こちらは反対に激しいいじめから立ち直っていく生きる基本みたいな小説で、学問というものがはたして机の上だけの世界ではないことを作者は訴えているように感じるくらい貧しき中にも優しさが溢れていたのです。

可哀そうな太宰治・・・、最後の文が

いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎていきます。
自分がいままで阿鼻叫喚で生きてきた所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
自分はことし、二十七になります。白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、四十以上に見られます。


素晴らしい文章でした。

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by madamegrimm | 2016-06-28 11:14 | 人間 | Comments(4)

梅雨の晴れ間の散歩

 今日も蒸し暑い一日ですが久しぶりの晴れ間を縫ってお昼前に出かける。

何故か王子駅に下車、反対側に出ると緑深きロードが・・・。

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音無親水公園と記してあります。きれいな流水の中で子どもたちが水遊びをしています。懐かしい情景。

右を見ると、

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神社らしき建物への階段が、おー、巨木なイチョウの樹。

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やはり神社でした。

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名は王子神社。歴史は古く説明の看板を見ると1300年頃からで北条家や徳川家とも謂れがあるよう・・・。

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厳かに結婚式が奥では行われています。

日本情緒豊かな情景を後にして駅前に並ぶレストランの一軒に入りひと休みして風邪後の体調を整えてきたのでした。

あー、それに致しましても日に日に体力が衰えていくことを実感している今日この頃。 フー
by madamegrimm | 2016-06-26 16:27 | 未分類 | Comments(2)

 
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昨朝のハイビスカス二輪。去年の一鉢から又どんどん咲き始めています。分人・・・

北海道の釧路の方で殺傷事件が又起きました。一人の精神的に傷ついた若者が国家より死刑にしてほしいと他人を巻き添えにしました。

日頃はおとなしい性格であったとか・・・。職場を一年で辞めて・・・

傷ついていく若者が何て多いことか・・・社会の仕組みの中で人間関係に圧されていく弱者たち。

人の心の分かる人間をもっと導けないものか・・・一人の人間の中には優劣あい交っているのです。

ショッピングモールの中でこのような被害に遭われた犠牲者が増えないよう、社会をもっともっと変えていかなければいけない・・・優しさのなかでの厳しさを、そして優しさを。



 
by madamegrimm | 2016-06-23 19:22 | 人間 | Comments(2)

 赤いハイビスカスの花言葉は[常に新しい美][勇敢]・・・こころの沈みがちな梅雨空の下で今朝の新顔です。

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今日は暦の上では夏至、夏の花ハイビスカスの見事な新しい美を私に伝えてくれました。勇敢に。


そして昨日は中古CD店でシューベルト歌曲の珍しいオーケストラ伴奏でのヘルマン・プライ独唱を見つけてきましたの。

シューベルトの歌曲はほとんどの伴奏は美しいピアノが多くそれに聞き慣れておりましたが、この盤を求め、あらたな作曲者たちのシューベルトへの思ひが伝わって来ます。

少し記しますと[魔王]・リストとベルリオーズ編、[御者クロノスに][メムノン][ひめごと]・ブラームス編、[セレナード]・オッフェンバック編、[夕映えに][竪琴弾きの歌]他・レーガー編、等々。

オーケストラはミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とウイーン交響楽団、指揮はガリー・ベルティーニです。

1977年~78年頃の録音でこちらも勇敢な挑戦です。聴いているとシューベルトのスケールの大きさが静かに押し寄せてきます。

[鱒]だけはちょっと異様感でピアノ伴奏との駆け引きの方が素敵ですね。

あらためてシューベルトの歌詞を聞いていると美しさが秀でてきます。

『音楽に寄す』《An die Musik》

やさしい芸術よ、何と数多くの灰色の時、
人生に容赦なくわずらわされた時に、
私の心に火をつけて暖かい愛情を感じさせ、
よりよい別世界に運んでくれたことでしょう。

あなたの竪琴から流れ出る溜息が、
あなたの甘く清らかな諧音が、
しばしば私によりよい時の天国を開いてくれました。
やさしい芸術よ、私はそれをあなたに感謝いたします!

(フランツ・フォン・ショーバーの詩なのですが・・・どなたの訳か・・・)

Du holde Kunst, in wieviel grauen Stunden,
Wo mich des Lebens wilder Kreis umstrickt,
Hast du mein Hert zu warmer Lieb entzunden,
Hast mich in eine beßre Welt entrückt.

Oft hat ein Seufzer, deiner Harf entflossen,
Ein süßer, heiliger Akkord von dir
Den Himmel beßrer Zeiten mir erschlossen,
Du holde kunst, ich danke dir dafür!


一年ぶり夏至の日に咲いた花への喜びと共に。
by madamegrimm | 2016-06-21 11:38 | クラシックはお好き? | Comments(2)

 弱者いじめがエスカレートしている。

敗戦後の復興は目まぐるしいスピードで自分の生い立ちと共に社会は変化して行きました。

皆、貯蓄は無くとも生きる希望を持って世の中を動かしていきました。

人間を信じて・・・。

ところがどうでしょう!今の社会はあの当時では想像も出来なかったコンピューターとネット、マスメディアに圧(お)され人間としての考える力があらぬ方へ向いてしまった・・・。

あたりまえの人としての苦労が楽を追求し過ぎて、頭脳転換でアサッテヘ・・・。

そして頭では理解しても高齢者たちはもう身体が付いて行かないところをもって収入が無いのに追い打ちをかけて介護費用や諸々の公共税の高額支払を攻めてくる。

この六月は一年分の税の計算された書類がドッと送られてくるのです。

テーブルの上に積み重ねられたそれらの請求書を見てまた空咳が私を襲うのでした。

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               青のアジサイの花言葉:冷淡、無情
by madamegrimm | 2016-06-20 10:07 | 人間 | Comments(2)

 暑い日が始まろうとしています。今日は多分30度を越えているでしょう。

古いクーラーを点けていると気になることが多々あり、今年も窓を開けて出来るだけ風を通して団扇で過ごそうと思ってはいるのですが、軟な私は何処まで耐えられるか・・・極力外の涼しい建物に入るように頑張りましょう。

本を読むスピードが衰えてきていますが、少しずつ読む楽しみもあって、今回図書館から借りてきました平野啓一郎の『空白を満たしなさい』2012年講談社発行の小説は久しぶりに自分にとって充実した読書になりました。

大変面白い発想の内容でなかなか思いつかないところからの物語には恐れ入りました。

そして分人という意味もしっかり把握でき、細やかな人々のこころが伝わってきて、明晰な作者が垣間見られます。

内容は死者が生き返って復生者となってこの世の中に絡んでいくまさに創造の物語なのですが、恐ろしい物語ではなくかえって優しさが滲み出てくる小説でした。

もう少し彼の創造の世界を読みたいと思います。

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ゴッホの自画像から弟のテオとの絡む想像も面白く・・・。
by madamegrimm | 2016-06-18 19:10 | 人間 | Comments(2)

梅雨空の下では

 昼間から暗くなったり明るくなったり夕方はしとしと雨。

まるでマスメディアと政治の世界・・・人間の哀しみは植物によって癒されます。

外出した所から上野行きのバスが来ましたので飛び乗る。

終点の不忍池は梅雨空の下で蓮の葉が見事に列を連ねています。

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まだ花は硬い蕾が数える程・・・

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珍しい色の葵と、盆栽ザクロの花が満開です。

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今年の色のかわいいアジサイも

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梅雨を楽しむ歳になってきました。
by madamegrimm | 2016-06-16 21:03 | 樹木草花 | Comments(4)

家の餃子

 桜桃(さくらんぼ)より連想で太宰治が云っているようにまるで珊瑚!

珊瑚真珠と名付けたい位瑞々しいさくらんぼを見ているとこの次は私が桜桃ブレスレットを作りましょう、と思ってしまいます。

それはさて置き、昨夜は餃子とわかめのスープで何故か身体もすっきり気分。貧しくてもに気を使って生きることは思考を正しい世界に導くと私は信じています。

正しい・・・なんてそんな言葉を使う事じたいがおこがましいですが、何も贅沢な食材や外食をすることではなく、デフレ気味の街々の食材は工夫をすればいくらでもボンマルシェのものが手に入る。

というワケで、おいしいシンプル餃子とスープを記しましょう。

焼き餃子の材料: 豚ひき肉200g、キャベツ4枚位、にんにく1カケ、長ネギ10㎝、

作り方: 鍋にお湯を沸かし、洗ったキャベツをサッとゆでる。湯を切り、みじん切りにして水気を絞って置きます。
      ボールに挽肉とみじん切りかすりおろすかしたにんにくとみじんぎりの長ネギを入れ、混ぜて少し味付けとして塩、こしょう、酒、醤油をたらし、切って置いたキャベツも加えて、あればオイスターソースをひとたらし加え、少しのごま油を加えよく混ぜて片栗粉を大匙1加えて中味は出来上がり。

餃子の皮は市販のお好きな大きさをどうぞ^^

この餃子の皮で中味の具を入れて包んでいるときの醍醐味、料理好きにはタマリマセン。

20数個出来ましたら、大き目のフライパンにごま油とサラダ油半々を布いて包んだ餃子を並べていく。

始め中火で焼き始め、少し経ちましたら弱火にして焦げ目がつくまで約5分焼きます。

お湯を沸かしておいて、そのフライパンに具がひたひたになるほどの湯を注ぎます。

中火にして蓋をし、水分が無くなり、パチパチと破裂音がしてきましたら、出来上がり!

小皿に酢・醤油・ラー油を入れつけて戴きます。

ワカメのスープは沸かしたお湯の中に鶏がらスープの素を入れ、ありましたらきのこ類の何かを加え、もどして切ったわかめと緑の葉っぱ(この日はクレソンの葉)を入れて塩と酒で味を整え、最後に溶き卵を流し入れて出来上がり!

ボンナペティ!

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by madamegrimm | 2016-06-15 10:56 | 「新」文章で綴る料理 | Comments(2)

今日のおさんぽ

 体力回復のための散歩に出かける。

蒸し暑い昼下がり、若竹の青さから涼しさを。

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何故か今年の紫陽花は字の色が多い。

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こちらも紫陽花のよう。

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図書館に寄り、本を2冊借りてスーパーまで歩き買物をして戻る。

初物のサクランボが出始めました。

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家に戻りましたらまだまだファティゲ!

長椅子でひと休み・・・。
by madamegrimm | 2016-06-12 21:00 | 樹木草花 | Comments(2)

東京大手町下車より

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ほとんど咳も止まっているのですが何かの拍子にまだ咳込み、気にしていても始まらない…と出かける。

降りた所が大手町、梅雨の晴れ間のビル街を歩きOAZOビルに入る。地下の神戸屋パン店で左手の簡易キャフェで軽いサンドイッチと飲み物を戴き、同ビルの丸善本屋さんを見て回る。

ブログ知人「私たちは20世紀に生まれた」を拝見していて、興味の本を見つけ、しばし立ち読みをしてくる(ごめんなさい)。

年金支給日前なのでお許しを・・・。

自分の事を振り返り、几帳面差の違い、また男女の違い、子育てで一生をおくってしまって社会の動きのある時期の空白、諸々の弱き自分にぶつかっている今、読まなかった本や過去の社会情勢を自分なりに繋げようとしている愚かな私。

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あ、東京駅が見えます。

確か、川端康成展が東京ステーションギャラリーで開催されているはず・・・行ってきました。

19日までのようですが何冊かここのところ読んでいて関係の人々の世界を観てきたのです。

う~ん、正直、主観的偏見から、「過去の人」・・・。

公益財団法人日本近代文学館に今は保管されている作品群、画家では東山魁夷、梅原隆三郎、岸田劉生、草間弥生、中沢弘光、猪熊弦一郎、等々。

手紙のやり取りでは恋人であった伊藤初代はもちろん、谷崎潤一郎、岡本かの子、坂口安吾、瀬戸内晴美(現:寂聴)、三島由紀夫、太宰治(めんめんと書き綴った芥川賞を望む巻紙(*_*))、等々。

映像では明るめの青の着物姿で鎌倉を散策している姿には心の奥が見えるような悲しげな佇まい。サトウハチローのナレーターで・・・。

何か人間の哀しみが襲ってきました。

もう少しノーベル賞作家・川端康成を読んでみたいとは思いますがいっそうの孤独が押し寄せてきそうです。

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by madamegrimm | 2016-06-09 16:22 | 人間 | Comments(4)