2017年 11月 10日 ( 1 )

引き続きカズオ・イシグロ作品読了

 2001年に単行本として刊行され2006年文庫本となりました早川書房発行の『わたしたちが孤児だったころ』`WHEN WE WERE ORPHANS'入江真佐子訳を昨日ようやく読み終わりました。

中国・上海の租界地域の話です。1845年にイギリスが上海に創設した開港都市で外国人がその居留地区の行政・警察を管理する組織およびその地域のことを租界というそうですが、第二次大戦中に消滅します。

テーマはそこに住むイギリス人の主人公パンクス・クリストファーが子どもの頃、近所の日本人家族の家の子・アキラと探偵ごっこなどをしたりして親しく遊んだ思い出が膨らんでクリストファーの両親がいなくなり、伯母の住んでいるロンドンへ孤児となって連れて行かれ1923年ケンブリッジ大学を卒業して私立探偵となり社会的地位を得て両親を捜しに・・・。

小説はPartⅠ・1930年7月24日 ロンドン
PartⅡ・1931年5月15日 ロンドン  PartⅢ・1937年4月12日 ロンドン
PartⅣ・1937年9月20日 上海キャセイ・ホテル  PartⅤ・1937年9月29日 上海キャセイ・ホテル  PartⅥ・1937年10月20日 上海キャセイ・ホテル
PartⅦ・1958年11月14日 ロンドン

と、このように7つのパートから成り立つ広大なその当時の中国にアヘンが充満しようとしている貿易社会に携わる人々のお話で、裕福なイギリス家族の中に生まれた主人公クリストファーの生涯が記憶の中からその時代の事細かな表現によって、いかなる社会事情の中であっても個としての人の存在を明確に書き記していく作品に圧倒されました。

見事です。

b0105259_13494643.jpg




[PR]
by madamegrimm | 2017-11-10 13:50 | 人間 | Comments(2)

私の日常(madame grimm)


by madameoyou
画像一覧