2017年 05月 09日 ( 1 )

草野天平とその妻・草野梅乃女史の事

 先日、神保町でみつけた草野天平全詩集を発見し胸が騒ぎました。

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もう一度Up致しましたが草野心平の弟君でありますが兄上とまた違った42歳志半ばで病死なさいます。

清純な独特な精神の姿勢で読む者を惹きつけます。

明治43年生まれの天平は私の父と同じ歳、その生い立ちを考えると明治大正昭和を背負った一人の軌跡として深く浸透していくのでした。

そして何よりも私に身近な存在となっているのはその妻、梅乃女史のことです。

この詩集を編纂されたのです。夫亡き後・・・。

草野梅乃女史は私の15・6歳頃の学び舎での日本文学史の先生でした。

いつも髪の毛をいっそくにまとめ紅系の着物をきちんと着て教壇の前の机に教材を置いて二葉亭四迷や白樺派やアララギ派等々説明なさっているのですが私はその当時、外国小説に凝っていていつも隣の親しい友人Kさんと小説の話に夢中の頃でした。

草野先生の日本の作家・小説類にはあまり興味が湧かず何かぼーっとしていた時なのか、先生と目が合って「・・・・さん」
と大きな目で私を優しく見つめています。

その声と趣きが強烈な印象として残っている個性豊かな先生でいらっしゃいました。

先生の父上が弁護士で草野天平とはどのように出会われたのかよく存じ上げませんが前妻のお子を育てながらのご苦労が多かったでいらっしゃいましたでしょうに、亡き後のこの詩集を発刊するにあたっての情熱には頭が下がります。

2006年にお亡くなりになっていらっしゃるようですが草野天平という詩人を世におくり出したことの素晴らしさに感動しております。

草野天平の『一少年に』という詩を記します。

なぜあなたはさういふふうに気をゆるすのですか
先生と言ったなら
なぜ最後まで言い通さうとはしないのですか
目の前に例へゐようがゐまいがです
人はどんなに大人びようが
世の中がどんなに違った風に進もうが
たった一人
へりくだった
生意気じゃない気持をもたなくてどうします
物ごとは
なんでも初めは一人です
世の中を善くするのも悪くするのも
唯この一人からです
いいですか
たうてい動きそうもない遠大なものでも
たった一人の力
あなた自身の力の出し方しだいで動きはじめるということを知らねばなりません
生意気にならない、ということも同じ理屈です
恐らく人は子供っぽいといって馬鹿にするでせう
くやしいこともくやしいし悲しいことも勿論悲しいです
そこをじっとこらえるのです
辛抱しきるのです
その位のことが出来ないで
どうして人の心を打ち動かすことが出来るでせうか
事柄はちっぽけです
ところがこのちっぽけこそが実は大変なのです
まあやって御覧なさい
苦しいですがまた非常に雄々しくもありますから


もう一つ記します。

木々の梢』

不協和の調べは一つもなく又同一の調べもない。それはこの上もなく純一で、しかも変化に富んだ交響曲である。

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by madamegrimm | 2017-05-09 11:15 | 人間 | Comments(2)

私の日常(madame grimm)


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