ある駅ビルで見つけ
2015年 06月 12日
推理物で気分転換をするには最適です。『凍原』(小学館文庫)、去年文庫本になったようです。
彼女の作品は底辺から這い上がって行く凄まじい女性をテーマにしたものが多いのですが、この作品もご多分に漏れず、戦争末期の樺太から戦火の中を身内を目の前で敵方にやられ着の身着のまま夜の山道を転げ落ちながら足をぐじゅぐじゅに傷つけ途中脱走兵のソ連兵に出会い薬を分けてもらったりしながら身を委ねてしまう女性の北海道に渡ってからの生き様の推理小説でありましょうか・・・。
始まりは釧路の街の男児が湿原で消えるところからふくらんでいきます。
相変わらず底力のある物語でまいりました。
隔世遺伝で目玉の色がブルーに生まれてきた男性が自分のルーツを捜すのもテーマのひとつでいろいろな課題を投げかけながら事件を追っていく内容に流石の紫乃さんです。
このようなところにも戦争の悲惨な姿がまだまだ残っています。
人間の愚かさは果てしないです。宿命と言ってしまいたくないです。
戦争をしない国、唯一国にしたいです。
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