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第153話 「星の金貨」 グリム童話 日本語版

 昔、小さな貧しい女の子がいました。
お父さんとお母さんは死んでしまい、いませんでした。
住む家も、眠るベッドもなく、この世の中で持っているものといったら、身に着けている服と、あわれに思った人がくれた一切れのパンだけでした。
けれども女の子は、とても信心深く気立てのいい子でした。
 そこで女の子は出かけていきました。
そして途中にひとりの貧しい男に出会いました。
男は、女の子に何か食べ物をくれ、としきりにたのみました。
そこで女の子は男にあの一切れのパンをあげました。
それからさらに歩いていくと、ひとりのこどもがやってきて言いました。
「頭が寒くてたまらない。まわりに巻きつける物をおくれよ」。
そこで女の子は帽子をぬいでその子にあげました。
そしてさらに少し歩いていくと、またひとりの子どもがやってきましたが、その子は胴着を着ていなかったので、女の子は自分のをその子にあげました。
さらに歩いていくと、ひとりの子どもがスカートをくれ、と言うので、その子にも自分のをあげました。
女の子はしまいに森へやってきました。
とっくに暗くなっていました。
するとまたひとりやってきて、肌着をくれ、と言いました。
そこで心やさしい女の子は、暗い夜だもの、肌着をあげたってかまわないわ、と考えて、肌着をあげました。
 すると天からにわかに星がいくつも降ってきました。
それはみな光り輝くターラー金貨でした。
そして肌着をあげてしまったのに、女の子はまた肌着を身につけていました。
それもこれ以上ないほど上等なリンネルでできていました。
それから女の子は金貨を拾い集めました。
 そして一生、幸せな毎日をおくりました。
by madamegrimm | 2013-01-29 17:29 | グリム童話ってすごい | Comments(0)

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